演劇「パノラマ-唐ゼミ☆版」
美術家やなぎみわさんは、しばらく演劇に傾倒している。1920〜30年代に凝っていて、詳しい。最近はパノラマ館にこだわっている。そして今回、元・立誠小学校でおこなわれた「パノラマ・プロジェクト【京都編】」の中で、唐十郎の教え子たちの劇団「唐ゼミ☆」(白星のマークがつく)と組んで、3月28日〜30日にパノラマ-唐ゼミ☆版」を上演した。
パノラマ館は日清・日露戦争の時代に空前のブームを巻き起こし、衰退していった。円柱の内側に360度つづき絵が描かれていて、真ん中に立ってみると、その世界に入り込んだような錯覚に陥る装置らしい。萩原朔太郎の著作にも記されている。これがまた、あちこちギシギシきしみ、ガラスは波打ってみえて、ちょっと廃墟のように壊れかけた元・立誠小学校によく似合う。講堂のようなスペースに簡易椅子や桟敷で客席ととった座り心地の悪さがまたいい。やなぎみわさんは、2012年になにわ橋の「アートエリアB1」で、「パノラマ〜鉄道編〜」を公演している。残念ながら観に行けなかったが、それより前の夏に、鳥取で「PANORAMA〜パノラマ〜 鳥の劇場」というのも公演している。毎回、舞台に会わせて演出や脚本もかえているようで、こだわりを感じる。
今回は唐組とのコラボということで、登場人物がやや多く、台詞もやや多く、いつもより「動」のイメージだった。戦争が身近な不幸な時代だが、そこに生きている人々はパノラマ館のようにはかなく鮮やかだ。
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