維新派の犬島、三度(みたび)
大阪の劇団、維新派につられて、2002年と2010年に岡山県の犬島(指定都市になったので、犬島は岡山市東区になるらしい)を訪れた。その間に2008年に犬島アートプロジェクトの精錬所跡の見学に一度来た。そして、2011年、2年連続で犬島へ来るとは思わなかったが、三度維新派の演劇を観に犬島来訪となった。
今回の維新派はちょっとちがった。いままでは野外に巨大な舞台をぶち立てていたが、今回は犬島の自然が舞台装置だった。中の谷入江で干潮にあわせて開演される。だから、9月23日〜25日、すべて開演時間がちがう。風の音、波の音、波紋のひろがり、海面に映る影、すべてが自然の舞台装置だ。
タイトルを、「風景画 —岡山・犬島—」と、いう。
いや〜、今回ほど、「雨がふってなくてよかった〜」と思わずにはいられなかった。なんせ、1列目は干潟を見下ろす道の縁に腰かけているだけなのだ。2列目はビール瓶の箱を足に板がわたしているのが座席だ。ざぶとんがわりのパズルマットが1枚づつ配られている。維新派のことだから、台風以外は雨天決行だろうけど、雨だと演るほうも観るほうも、いつもの野外舞台以上にワイルドになりそうだ。役者もいつものかっこうだけど、下は地下足袋。それも、干潟の水位がおもったよりあるので、立ち位置によってはヒザぐらいまで浸かっている。「干潟ってこんなものなのかな?」と観ているときは思っていたけれど、後でHP(維新派検定Q51参照)を観たら、思ったより潮が引かなかったようなのだ。あ、やっぱり。演出はわりと地味で、ここちよさにつられて、ついウトッ……としたら、1列目だと干潟に落ちてしまうかも!と思ったらかえって緊張した。おまけにケータイとかチラシとかなにか手に持って落としてしまうと、干潟の海水にボッチャンで回収不能になってしまいそうだ。演目が進んでいる間も、地元の人が後ろを自転車で通ったり、子どもが駆けていったりする。とても不思議な時空間がここにあった。
この90分間の演劇を観に、朝6時半に家を出て、新幹線に乗って、バスに乗って、船に乗って、犬島に渡り、逆コースをたどって帰って来たら夜の7時半だった。岡山駅からの無料シャトルバスが朝9時発で、船の定期便の便数も少ないので、島について4時間ぐらい開演まで時間があった。行きのバスで偶然となりに座った同世代の人といっしょに、精錬所跡の見学(以前は予約制だったが、今は予約不要)と村の中で展開されている家プロジェクトを観てきた。一人で巡ると黙々と歩いてしまいそうだが、維新派つながりのおしゃべりしながら楽しく時間を過ごせた。
村を巡ったときに、「以前より人に会わないなあ」と思ったら、劇の中に「今は49人住んでる」というようなセリフがあって、ギクッとした。帰ってから、2008年の見学の時に案内してくれたおばちゃんの話のなかで200〜300人住んでいると聞いた(と、自分のブログに書いてあった)のに、たった3年で5分の一!?……岡山市唯一の有人島は風前の灯火なのかもしれない。なのに、今回いったら港の近くにこじゃれたカフェいくつか出来ていた。弁当も売っていた。「何も食べるものがない」と思って、食料も飲み物も用意して入島したので、島にはあまりお金を落としてこなかった。今度行くときには島はどうなっているのだろう。
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