書籍・雑誌

2018年2月12日 (月)

写真集『渋イケメンの世界 〜美しき働き者たちへの賛歌〜』

 『渋イケメンの世界 〜美しき働き者たちへの賛歌〜』三井昌志著(雷鳥社)
 目ヂカラの強いやたらかっこいいおじちゃんやおじいちゃんを集めた写真集『渋イケメンの国 〜無駄にかっこいい男たち〜』に続く第2弾。
 今回カメラマンの三井さんがフォーカスしたのは「働く男」。主に肉体労働に従事している男たちを撮っている。インドのタミルナドゥ州の染色工場、ラジャスターン州のラクダの放牧、グジャラート州のサリーのプリント工場や鋳造工場、そしてバングラデシュやミャンマーのロヒンギャの村にも赴いている。ぱっと見、年齢不詳。決して良いとはいえない労働条件で働いている彼らは、見た目より実年齢は若いんだろうなあと想像する。だが、隣の芝生をうらやましがらない自分の人生は、貧富の差は関係なく、ムンムンする生命力にあふれている。
 ネットで著者のサイトに注文したので、著者サインと絵葉書つき。著者の公式サイト「たびそら」はこちら

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2018年2月11日 (日)

タラブックスが素敵

 昨年秋以降、インドのタラブックスの話題が豊富だった。タラブックスは、このblogでも何度が本を紹介(『夜の木』『水の生きもの』『TSUNAMI』『世界のはじまり』)しているし、イベントレポも書いたが、こんなにまとまって話題になったことはなかった。
 11月25日から1月8日まで、東京の板橋区立美術館で、「世界を変える美しい本 –インド・タラブックスの挑戦−」展が開催された。日本で初めてのタラブックスの展覧会だったが、皇后様もご覧になったとTVや新聞にも報道され、ちょっと注目された。秋はオモテ稼業もイベントが積んでいるし、コミケのついでと思っても、公立だから12月29日〜1月3日は閉館なのよね〜(T-T) 
 残念ながら展覧会には行けなかったが、この関係で「タラブックス」の代表ギータ・ウォルフさんと編集者V・ギータさんが京都にもやってきた。12月3日に恵文社一乗寺店「タラブックスが見た世界」というイベントが開催されたのだ。エスコートと進行は、装丁家の矢萩多聞さん。
2人のギータさんは、その日に東京の方からやってきたという疲れも見せず、キラキラと光る目で、熱く自分たちの本作りを語ってくれた。出版本の中から、初期に創って永らく再販されていなかった『Beasts of India』と絵本といえどストーリーになかなか蘊蓄がある『Water』を詳しく紹介してくれた。
 また、展覧会の図録が一般書店売りもされている。
『世界を変える美しい本 –インド・タラブックスの挑戦−』(ブルーシープ)
日本語訳が出ていない本もいっぱいあるし、シルクスクリーンの手刷りなので部数自体すくないので英語版等でもお目にかかったことのない本もたくさんあるし、仕掛け絵本や凝った装丁の本も多いので、いちど現物をみていたいなあ。

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2018年2月10日 (土)

蔵前仁一の旅の3冊

 遅れがちなblogだが、インドネタ3本を連投する。

 先の1月17日の雑誌「旅行人」166号復刊ネタの続きになるが、その「旅行人」の記事をみて、編集長蔵前仁一さんの発行した3冊を通販した。いや、発行されたのは知っていたが、東京での回顧展でしか手に入らないと思っていたのだ。
 『ゴーゴー・インド30年 旅の記憶』 「蔵前仁一旅の回顧展1986—2017 公式パンフレット」
 『旅日記 3』
 『THE ART OF MEENA』

 先だって、昨年の9月29日から10月4日まで、東京の早稲田奉仕園リバティホール&スコットホールギャラリーで、「蔵前仁一旅の回顧展1986—2017」というイベントが開催された。東京で、1週間足らず……当然行けない(T-T) 『ゴーゴー・インド』は凱風社刊の旧版(1986年)も、CD付きの旅行人刊(2001年)の新版も持ってるぞ。そうか……30年か。トシをとるはずだし、インドも変わったり変わらなかったり。バックパッカーをやる根性はなかったが、私がツアーに1人参加して初めてインドに行ったのも『ゴーゴー・インド』の出版と同じ1986年だった。あの時、バラナシの土産物屋さんで、偶然クミコハウスのシャンティさんに会ったんだよなあ、としみじみと思い出す。シャンティさんも今年の1月15日に亡くなった。
 『旅日記 3』は、その『ゴーゴー・インド』の本になった1985年1月30日〜3月13日の絵日記。ちなみに1は中国で、2は東南アジアで、これが日記の3冊目らしい。ノートの汚れも紙の裏写りもそのままに再現している。イラストも満載。蔵前さんの字もまるっとしていて、読みやすいなあ。
 『THE ART OF MEENA』は、ラージャスターンの先住民族ミーナーの壁画の写真集。真四角のカワイイ本だ。
 って、これらの本って、ISBNもなく、ほとんど同人誌? 書店売りもしていないだろうからけっこうレアかも? おまけに版元通販だから、蔵前さんのサイン入りよ!


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2018年1月17日 (水)

「旅行人 No.166」1号だけの復刊

 蔵前仁一さん編集の雑誌「旅行人」が昨年2017年9月に1号だけ復刊した。2011年12月に165号で終刊して5年9ヶ月、たしかにこの先どうなるかわからないというようなことを書いてあったかもしれないが、本当に復刊するとは思わなかった。
 今回の特集は「インド、さらにその奥へ」……ディープだ。パワーは少しも衰えていない。内容も装丁も165号からそのまま読める。ここに凝縮するまで、約6年というのが、今の自然なペースなのかな。
 さて、2016年11月にインドで、モディ首相の号令のもと、高額紙幣が使えなくなる事態があった。その11月8日、まさにその日に、蔵前さんはミーナー壁画を探しにインドに到着したのだ。その旅行記が巻頭にある。いや〜、なかなか遭遇しない事態に遭ったんだよね。良いネタひろったともいえるが、実際はとても大変そうだった。
 他の記事も目新しく知らないインドをいろいろ魅せてくれたのだが、小川周佑(しゅうすけ)さんの「国境線が変わる日」がいちばん面白かった。インド−バングラディシュの国境地帯にこんな点々とした飛び地群があったとは知らなかった。その「クチビハール」という飛び地は、2015年8月1日の領土交換によって、今は無い。インドは常に動いている。また、齋藤正助さんの「クミコハウスの物語」では、バラナシのゲストハウス「クミコハウス」の最近の様子と、2017年1月17日に亡くなったシャンティさんの晩年の様子とそれを見守る久美子さんが描かれている。井生(いおう)明さんのケララ州カリヴェルールの祭りテイヤムの記事や、アジアハンター代表の小林真樹(まさき)さんのアーンドラ料理・トゥルナードゥ料理クールグ料理・マーピラ料理の食べ歩きなど、ふだんあまり情報が届かない南インドのレポートも面白い。

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2017年9月28日 (木)

第56回日本SF大会ドンブラコンLL(その4 SF以外の食べ物の話)

 SF話とはそれるが、SF大会は全国各地を巡るので、いろいろ美味しいものをいただく機会がある。
 今回は前日に職場から直行で静岡入り。結局暗くなってから着いたので、荷物をホテルに置いて、近場で夕食を済ませた。お昼を食べそこなったので、駅ナカのお寿司屋さんでちょっと贅沢した。ネタが沼津産、生しらすが売り切れていたけれど、美味しくいただいた。

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 ホテルは素泊まりで、2000円の朝食バイキングはちょっともったいないのでパス。ネットで調べて、駅近のおにぎりやさんに行ってみた。昔の家の玄関土間で食堂やってますというような懐かしい店だった。奥の畳の部屋からはその家の子どもの声がする。素朴なおにぎりと味噌汁と静岡おでんを2本チョイスして380円。


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 お昼は会場に出展しているお店で「特大干し椎茸のステーキ重」。


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 1日目の夜は、参加者の友人とそのお知り合いとで居酒屋に行った。地酒とお刺身と静岡おでんをいただいたが、地酒の何が美味しいか、いろいろ教えてもらったし、酔っ払っていただいたのにうろ覚え。いい加減なことは書けないないので、また修行します。

 2日目の朝は、駅ナカのお店でだし茶漬け。これも割とリーズナブル。
翌日のランチは昨日の隣の店でもつカレーを食べようと思ったけど、売り切れだった。というか、1時30分ごろだったのでほとんど何もなく、結局食べ損ねて適当にお菓子をつまむ。

2017年9月27日 (水)

第56回日本SF大会ドンブラコンLL(その3・企画以外)

 SF大会での毎年の動向として、まずディーラーズルームに出展している。昔はSFマンガも描いていたが、すっかりエッセイマンガしか描けない身体になってしまった。最近はカンブリア生物や深海生物の切り絵しおりに入れ込んでいて、「これのどこがSFやねん?」と、まわりのまっとうなファンジンに囲まれて申し訳ない思いがあるけれど、懐がひろいSFファンのおかげで、楽しい会話をさせていただいている。今年は『ギョギョっと深海魚』というタイトルの薄い新刊を出すことが出来た。
やっぱり静岡だし、沼津深海水族館もあるし、今年創らなくていつ創る?!と思ったが、この原稿を印刷所に出稿したとたん腰痛になった。あぁ。

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 また毎年、何枚か『時刊新聞』に投稿をしている。『時刊新聞』も自主企画のひとつで、リソグラフを持ち込み、参加者から記事を募りながら、イベント期間中新聞を出し続ける耐久レースのような企画なのだ。ディーラーズのブースやホテルで描いては持ち込んでいる。ああ、それからシール企画にも参加した。参加グッズにシール帳がついていて。みんなでシール交換をするのだ。今年は新しいシールを創った。


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 これ以外も、ディーラーズに居ると、隣で加藤直之さんがライブペインティングをしてるし、通路の向こうでサイン会が始まってるし、近くでヒゲキタさんの3Dシアターもやってるし、ゲストさんが通りかかるし、物販も近いし、いろいろと飽きない。とはいえ、今年は比較的まったりとした参加だった。

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 来年の第57回日本SF大会は、7月21日〜22日に水上温泉ホテル聚楽で開催される。なので「ジュラコン」。すでにホームページもできている。水上温泉は、1988年に武田さんが実行委員長だったときに第27回大会Mig−CONが開催された。その時のホテルは松乃井だったらしい。私は……どうやらその時は不参加だったような気がする

2017年9月26日 (火)

第56回日本SF大会ドンブラコンLL(その2・企画参加)

 毎回SF大会はパラレルワールドのように10個以上のプログラムが並行して進行している。グランシップはこのように、SF大会に占拠されている。1階の大ホール・中ホールは一般開放エリア、2階以上のフロアーは参加者のみ入場できる。

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「SF古代生物の部屋」毎回、おたくな学芸員さんたちが自分たちの情熱をほとばしらせて語っている。今年は、ドンブラコンで静岡なので、海ものということで、須磨海浜水族園のヒーロー・キャンシャリアンを生み出した絵の達者なもと学芸員(だいたいフィールドワークとか観察をするので、絵の上手な人が多い)さんをゲストに立ち見が出るほどの賑わいだった。来年はその名も「ジュラコン」で、チラシは永野のりこさんの描く発掘少年なので「これは受けてたたねば」と主宰者は燃えている。
「日本SF図書館員協会 第17回総会」SF大会に紛れ込んでいる図書館関係者の密やかな総会。主宰者が「今年はゆっくり温泉に浸かりたい」とパスした年もあるけれど、もうすでに17回。毎年ネタを振りながら活動報告というようなものを順番にしゃべって行くだけだが、SF者なので、みんな見方がやや斜め。中身はオフレコ企画なのでSNSではナイショ。
「白井弓子×西島大介対談〜私はあきらめない〜」「ディエンビエンフー」で惚れ込んだ西島さんはSF大会には常連なので、きっと参加するだろうとふんでいた。デビュー前から知っていた白井弓子さんはコミティアの常連ではあるけれど、SF大会は今まで参加されていなかったと思う。が、日本SF大賞をとったからには、きっとSF大会には参加してくれるだろうなあと信じていた。すると、日本のSF大会よりもワールドコンに先に参加してしていた。すごいよ〜 というわけで、私の好きなおふたりをそろって拝見できるプログラムが企画された。このふたりの共通点は、どちらも雑誌「IKKI」に連載していて、途中から単行本書き下ろしに移った(「地下に潜った」という表現を使っていた)ということ。その時の編集さんも交えて、その当時の裏話などもお聞きした。その後、サイン会もあって、白井さんに『イワとニキの新婚旅行』(会場で購入しようと控えていた)にサインをいただいた。西島さんの本は、つい『ディエンビエンフー TRUE END』まで全部買ってしまっていて、当日持ってくるのも忘れた〜(>_<)
 ほか、今年はオープニングに続いて「星雲賞授賞式」があった。星雲賞は事前に発表されていたが、今年は珍しく海外長編部門の作者のピーター・トライアスさんが来日して、直接受賞式に参加した。なんせ、『ユナイティッド・ステイツ・オブ・ジャパン』の作者なので、喜んで来日してくれたのかなあと思ってしまった。
 閉会式では、暗黒星雲賞ほか各賞の受賞に沸き、キョーレツな個性の草野原々さんが星雲賞の日本短編部門につづいて、センス・オブ・ジェンダー賞、暗黒星雲賞のゲスト部門のトリプル受賞をした。「ジュラコン」告知の素晴らしい歌声は、池澤春菜さんが「才能の無駄遣い」と賞賛した。

2017年2月28日 (火)

第37回日本SF大賞受賞! 白井弓子さん『WOMBS(ウームズ)』

 ちょっと時系列は前後するが、2月25日に発表された白井弓子さんの『WOMBS(ウームズ)』の日本SF大賞受賞をお祝いしたい。白井さん、本当におめでとうございます!!
 1巻目が発行された2010年から、ずっとこのブログに感想を書いて応援してきた作品だったが、完結してこんなに華々しい場に出るとは、想像していなかった。(すみません)でも、うれしい!
(ちなみに、1巻 2巻 3巻 4巻 5巻(完結)の感想はこちら)
 候補作に並んでいたのは知っていたけど、マンガでの受賞は大友克洋の『童夢』と萩尾望都の『バルバラ異界』だけだし、作者のネームバリューも雑誌もちょっとマイナーだし、難しいかなあ〜とか思っていたのだった。でも、SFテイストはバッチリで、SFごゝろをうずうずさせてくれる作品には間違いない。
 そして、SFファンダムの方からプロ作家になって受賞する人はいても、マンガ同人誌界からプロになったマンガ家がSF大賞を受賞するのは初めてだろう。これ、きっとCOMITIAのネタになるね! そして、これを機会にSF大会に参加してディーラーズルームにも出展してくれたらうれしいなあ。
 それに、もうひとつ本当によかった、と思うことがある。『WOMBS(ウームズ)』の掲載雑誌「IKKI(イッキ)」は連載途中で休刊になり、3巻目の途中の話から、単行本描き下ろしになったのだ。雑誌は休刊になると別の雑誌に移籍するのもあるが、そのまま途切れてしまう連載も多くある。その中で、単行本描き下ろしで完結させた。継続は力なり! 作者が同人誌で締め切りのない創作をこなしていた経験が活かされたのか。また、発行し続けてくれた編集・出版もすごい。ありがとう、IKKI!

2017年1月15日 (日)

矢萩多聞さんと「となりのインドさん」

もう少し、昨年の残っているネタを。
 去る9月17日に、京都の恵文社一乗寺店で、インド好きにはたまらない「となりのインドさん」というイベントがあった。初めは出勤日だったので諦めていたのだが、シフト交替を頼まれたので喜んで交替した。けっこうギリギリの3日前だったが、申し込んだらまだ空きがあった。
 内容は、昼の部と夜の部に分かれていて、昼の部では、装丁家の矢萩多聞さんが1日カフェをオープンして、手ずから南インドの定食(ミールス)をふるまってくれる。矢萩多聞さんは10代からインドで暮らした半分インドな人で、今回のランチも南インドの西海岸に住むコンカニー族の人にならったものなんだそうだ。装丁家だけど、イラストも描くので、絵入りのカンタンな説明もつけてくれていた。素朴で味わい深い美味しいミールスとラッシーをいただいた。

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 夜の部は、矢萩多聞さんとKAILAS(カイラス)の2人組との楽しいお話。KAILASは、松岡宏大(こうだい)さんと野瀬奈津子さんの編集&ライター&フォトグラファー2人組。最近『持ち帰りたいインド』という本を出版したので、その関係のスライドを中心に、後半は参加者の質問にも応えて、とても話題に富んだ2時間だった。矢萩多聞さんは以前同じ恵文社でタラブックスのお話を聞いたことがあるので、く喋る人と思っていたが、松岡宏大さんもそれに輪をかけたようによく喋る楽しい人だった。見た目より年をくっているようで、その年月で世界を旅して集めたアンティークやグッズで「一人民博ができる」と自分で言っていたから、いったいどんな家なのよ!? ガイドブックのarucoシリーズの『インド』(ダイヤモンド・ビッグ社)の編集にも関わっていたらしい。それ、持ってるよ! 確かに、家に帰って、奥付を見てみたら、小さくKAILAS、松岡宏大、野瀬奈津子の名前があった。確かに今回の新刊と同じニオイがするなあ。この本で紹介されているグッズはほとんど私物とか。
 矢萩多聞さんと松岡宏大さんは、多聞さんが10代に親に連れられインドへ行ってた頃から知っていたというから、繋がりは長い。宏大さんはマンガ家の流水りんこさんのtwitterにも名前が出てきて、りんこさんの漫画には、以前本を紹介したマサラワーラーの二人が登場してきたり、アルカカットさんのブログに多聞さんの本の評が書かれていて、直接の知り合いのようだし、インド界隈はけっこう世間が狭い気がする。

 今回の関連書籍
『持ち帰りたいインド』 KAILAS著(誠文堂新光社)
 今回はここに掲載されているもののウラ話とかも聞けた。よくあるかわいいだけの品物紹介ではなく、選んできた人の奥の深さが見える1冊。「この中でいちばん持ち帰りたいものは何ですか?」という質問が宏大さんからあったけど、私は赤いステッチの会計帳簿がいいなあ。お二人にサインをいただいた。

『偶然の装丁家』 矢萩多聞著 (晶文社)
『たもんのインドだもん』 矢萩多聞著 (ミシマ社)
 どっちにしようかと2冊持って行って(ミシマ社の本は、当日恵文社で買った)、多聞さんの半生が詳しく書かれている分厚い方の『偶然の装丁家』の方にサインをいただいた。ていねいなサインでテルグ語つき! 不登校、南インドに住む、装丁を始めたきっかけ、東日本大震災、京都への引っ越し等々、人生、どういう生き方をするかわからないなあ〜と思ってしまった。

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2016年6月21日 (火)

写真集『Tannery』とトークイベント「写真集『Tannery』ができるまで」

 雨がしとしとふる月曜日、土日働いた分、月曜が休日なので雑用のあと、丸善ジュンクと誠光社を2軒回るつもりで河原町に出かけた。平日のうえ天気が悪くて、あちこちが空いていて楽々だ。誠光社も以前行ったときと違って、初めのうちは貸し切り状態だったので、カバンを床に置いて端から端まで順繰りに棚を見ていく。奥の小さなギャラリーまで行くと、「あれ? なんかインドらしい写真がある」と思って覗くと、「どうぞ、バングラデシュの皮なめし工場の写真展です」と声をかけてくれたのが、作者の写真家の吉田亮人(あきひと)さんだった。(パソコン打ってたからので、お店の人かと思っていた) はじめはタイトルの読み方(「タナリー」と読む)も、工場のあるハザリバーグという地名もわからなかったが、いろいろお話していただいて、つい、その皮なめし工場で作った皮のカバーがついている特装版を予約した。たまたま写真展は今日から始まっていて、ネット予約はあったけど、書店では初めてということで、有り難くも書店予約第1号の栄誉にあずかった。

 その時にいただいたDMに、5月30日(月)にトークイベント「写真集『Tannery』ができるまで」が開催されることが載っていた。誠光社にて、吉田亮人さんと、今回の写真集の装丁をした矢萩多聞さんとのトークイベントだ。多聞さんは以前Tarabooksのお話を一乗寺恵文社で聞いたことがある。これはまた、ラッキーなことに月曜日なので、後日電話で申し込んだ。当日は18時でいったん閉店して、18時30分から受付、イベントは19時開始という。あの狭い店内のどこでやるのかな?と思ったら、真ん中の両面書架にキャスターがついていて端に移動され、イスが並んで20人ばかりの会場ができていた。数日前に予約確保の電話もいただいていたので、開始前に購入。吉田さんと矢萩さんの息の合った掛け合い漫才……もといトークで、吉田さんは小学校の先生をしていて、奥さんに「写真をしたら?」といわれるまで、写真をやったことなかったこと、パリの展覧会に出展したときのドタバタ?や皮なめし工場にどうやってアプローチしたかなど、次々と話がわいてでてきて2時間があっという間だった。終了後「Tannery」にサインもいただいた。
 
 その写真集『Tannery』だが、これは自費出版になる。レザーケース付きの特装版は100部、「コルドバ」という皮のような特殊紙を揉んで伸ばして折って手作りしたカバー付きの普及版400部。ページは180度に開くコデックス装で、表紙がない。多聞さんが「ケースから内蔵が出てくるかんじで」という表現を使っていたのがうなずける。まさに、この写真集の皮は本当にぬめっとした生臭い皮だ。それが、特装版に整えられた赤いケースの皮と本当に同一なのかと疑いたくなる。職人はほとんど装備なく皮をなめす劇薬を使う。蒸し暑く、ものすごい臭いが充満しているらしい。なかなかすさまじい情景だ。思えば、原始に動物の皮は、織物よりも先に人類が身にまとった衣服だ。昨日の記事に書いた『エイラ−地上の旅人』には何度も、狩りをして、動物を解体して、皮をはいで、なめして……という作業が描写されている。その頃は硫酸やクロムといった薬品はなかったはず。たしか、皮を白くするのに、おしっこをためて……という説明があったなあ。クロマニヨン人もやっていた皮なめしが、どうしてこうも薬品漬けになったのか。文化の数奇な歩みを考えさせられる。

 吉田亮人さんのホームページはこちら 

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