2008年11月 6日 (木)

マサラムービー おまけ 「賭ける男」

「ああ、ちょっと疲れたので休憩」と思って横になったら、夜中に目覚めたときはもう日付がかわっていた。つけっぱなしのTVから、ヒンディー語のようなのが聞こえると思ったら、観たことのある顔が写った。若そうなシャー・ルク・カーンだった。
新聞で確認すると、「賭ける男」1993年作品。なるほど若い。
父親を殺害し、会社を乗っ取った男に復讐しようとし、その娘たちに近づく青年をシャー・ルク・カーンが演じる。驚いたことに、これもどちらかというと復讐に燃え最後には悲劇的な結末を迎えるアンチヒーロー役だった。若いころから、純粋な2枚目ヒーローだけじゃなくて、いろいろやってたんだ〜。でも、最近映画館で30代、40代の円熟の演技をみているから、ちょっと硬めで、なんとなく下手。
……といいながら、最後まで観てしまって、翌日はとても寝不足な日だった。

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2008年11月 5日 (水)

ボリウッド・ベスト パート2「DON」

 「DON —ドン 過去を消された男—」2006年 168分
 そして2作目。観たのは日曜日だったが、昼間は家族サービスで国立民族学博物館へ行って、夕方別れて心斎橋へ。19時からかと思っていたら、昼間イベントがあったため19時30分開始だった。そのうえ、そのイベントが押して10分遅れぐらいで始まった。なので、「家族の四季」より上映時間は短かったのに、終了したのはほぼ同じ22時40分ぐらいだった。

 国際的犯罪組織を仕切る非情な男ドンと、警部のさしがねで組織に潜入するそっくりな庶民の男を、シャー・ルク・カーンが二役を演じる。
彼は1965年生まれだから、この映画では40代になっているのだが、う〜ん、トシを感じないくらいかっこいいぞ! それに、この映画では、主役といっても、陽気とか正義とかいい青年の役ではなくて、むしろ悪役。以前、ストーカー役をやってたこともあったが、また違う悪ぶりで、それも今回はその悪玉のふりをさせられるちょっとお軽い青年との二役。(実はその説明は正しくないのだが)いちばんはじめに「ラジュー、出世する」を観たときはそんなに思わなかったが、そのあと何作か観るうちに「あ、この人カッコイイだけじゃなくて、演技が上手いんだわ」と感じるようになったが、今回も「やっぱり上手いなあ」とほれぼれしてしまった。
ストーリーの最後のひとひねりは、まったく想定外だった。びっくりした。
この映画では、インドの風景は少しで、ほとんど海外。ドンがマレーシア国籍という設定で、クアラルンプールでのロケも多かった。オープニングのCGも格段によくなって、現代的。それに、前日観た「家族の四季」がDVD上映だったせいか、35ミリフィルムの画面がとてもキレイに見えた。

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2008年11月 4日 (火)

ボリウッド・ベスト パート1「家族の四季」

 10月25日〜31日の1週間限定で、大阪のシネマート心斎橋で「ボリウッド・ベスト」銘打ってマサラムービー3作品が上映された。しかし、このタイムテーブルが厳しい! 土日は昼1回夜1回、平日は夜のみ1回で、3作品が交代で上映される。この1週間は、なかなかハードなのだ。土曜日は出勤だし、夜に仕事で3日間遅い、PTAで1回夜がつぶれる。どうがんばっても、2作品しか見れない。というわけで、今回は「家族の四季」と「DON」を観てきた。これで、残業も含めて7日連続夜が遅かった。……おもしろかったが、かなりハード……

 「家族の四季 〜愛すれど、遠く離れて」2001年 210分
大富豪の家で、父親(アミターヴ・バッチャン)と養子で長兄のラーフル(シャー・ルク・カーン)が結婚相手を巡って訣別してしまう。それを弟のローハンが家族の絆を取り戻そうとする。
この作品の私的注目のポイントは、往年の帝王アミターブ・バッチャンと現在の「キング・オブ・ボリウッド」のシャー・ルク・カーンの共演! なんせ、私が初めてマサラムービーを観たのが、バッチャン主演の「炎」で、その時の彼はとってもカッコよかった。ひさしぶりに観た彼は、枯れてなく、ますます迫力があった。こわ〜い悪役アムリッシュ・プーリーが同じような家族の父親役をやった映画があったが、ガンコだがなかなか泣かせるいい父親役だった。ヒーローのバッチャンが父親役をやったら、こっちの方が怖かった。ちゃんと歌や踊りのシーンもあり、お茶目な面もあるし、最後は泣かせるのだが、大富豪の家長ぶりは他の役者にはできないんじゃないかなあ。
ほかの配役も豪華で、後半はイギリスでのロケもあり、ストーリーも笑わせて泣かせておもしろい。
間に休憩が入って、映画の出だしから、過去にもどり、休憩前に出だしの時点に戻って、後半で未来に進み、イギリスに舞台を移す。この構成は、萩尾望都の『残酷な神が支配する』と同じだなあと思ってしまった。(関係はないと思うが) 大富豪の息子は勘当されても、イギリスですごい大邸宅にすんでいるなあとか、子ども時代と弟のローハンや義妹のプーがまるっきりちがうじゃん!とか、本筋以外のツッコミも笑いのひとつとしておこう。
残念だったのは、デジタルビデオ上映で、ダンスシーンなど動きの速い場面になると、画面がぶれる。やっぱり35ミリは画像がキレイなんだと再認識した。

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2008年10月18日 (土)

映画「ざくろの色」

 ふしぎな美しい映画を観た。
 9月末でみなみ会館の会員の更新があるのだが、春からこっち全く行けてなかったので、リザーブチケットが1枚残っていた。みなみ会館は、ワンスクリーンシネコン状態なので、短い期間でもどの映画をみるかチョイスできる。その中で選んだのがこれ。
 「ざくろの色」 1971年 ソ連の映画。監督・原案はセルゲイ・パラジャーノフ。18世紀アルメニアの詩人サヤト・ノヴァの生涯にオマージュを捧げた美しい映像詩。云々……と、ネットのみなみ会館の作品紹介には書いてあった。
 たしかに、感想には、「美しい」という言葉を使わずにはいられない、ほんとうに美しい。アルメニアの荒涼とした自然、様式美の凝った修道院、くすんだ白と赤と黒を基調にした色彩、どれをとっても印象的。
 しかし、ストーリーはワケワカメ。というか、台詞がほとんどなくて、映像で淡々とつながっていくのだ。もう想像するしかない。
 しかも、この映画、今回は6日間限定のアンコール上映のせいか、パンフも何もない。チラシさえない。最近は3歩あるけばどんどんものを忘れていってるので、観た記憶がいつまで残るか不安だ。ちょっと真剣にDVDがあったら買おうかとも思ってしまった。

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2008年9月 7日 (日)

映画『カンフー・パンダ』

 実はこの映画は、試写会が当たって、公開前に観てきたのだ。試写会は当初、吹替版の上映の予定だったようだが、手違いで字幕版が届いたと会場で謝っていたが、試写会が新聞の購読者カード1枚につき1通で、1名のみご招待だったので、参加者は大人ばかりで全く問題はなかった。
 ドリームワークスのアニメは実は初めてみたのだが、これに関しては「香港カンフー映画そのまんまじゃん!」というようなアニメだった。が、疲れているときになにも考えずに楽しく観れる映画っていいかも。主人公のパンダのポーは、名前も体型もイメージもサモ・ハン・キン・ポーだ。サモ・ハンは『Mr.BOO』の頃からけっこう好きだったのだ。
 というわけで、これについては可もなく不可もなくってとこか。

 でも、「もう一度観るなら、ポニョとパンダとどっちみたい?」と聞かれたら、「ポニョ」っていうだろうな。

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2008年9月 5日 (金)

映画『崖の上のポニョ』

 春以降、あまり映画に行く余裕がなくて、ずいぶん映画関係のネタを書いていない。映画に行くのも体力と時間的余裕と気力がいるんだと、なんとなく実感。
 とりあえず、夏のジブリはおさえる。今回のは、あまり大仰にかまえないトトロのようなかんじかな、と思ったら……
 観た後、まず思ったのが「これ、けっこう不条理アニメだわ」
トトロよりパンダコパンダに近い?
なんの理由も設定も説明なく、不思議なことやフツウでないことがいろいろおこるが、大人も含めだれもそれに異を唱えないのだ。(ひとり、「ギャー、半魚人!」と叫んだご老人がいたが)
ストーリーの中でそれらしい設定をそれっぽくデッチあげる伏線をまったくはっていない。
ナウシカもラピュタもトトロももののけ姫も、ありえない話ではあるが、それっぽく世界観を表現する台詞があった。パンコパはなかった。なかったけど、おもしろかった。ポニョもないけど、画面が数段リアル調になっているから、不条理が浮いてみえるのだ。
なんで、そこにポニョが存在するのか、全く理由がわからない。そして、急に海が荒れようと、透明なきれいすぎる洪水がおきようと、半魚人の女の子が突然あらわれようと、ポンポン船がでかくなろうと、女の子のご両親がヘンでも、みんな泰然自若としているのだ。そういうことにこだわっていちゃいけない? しかし、そういう伏線のなさが、とつぜん理由もなく死者がゾンビになって生き返るB級ホラーと同じような不条理を感じてしまうのだ。
 映画館は夏休みで子ども連れが多かったけれど、上映中ほとんど子どもの笑い声が聞こえなかった。トトロの時はあんなに響いていたのに。なんかみんなボーゼンと観ていたってかんじ?
 それでも、だいたいが「おもしろい、よかった、かわいい」という評価になるのは、なんと言っても絵の魅力だろう。アニメーションの真髄っていうのかな、絵を動かす事についてはピカイチだ。画面をみているだけで満足。
 あと、あの歌はまれに見るヒットだ。クチについてはなれない〜

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2008年5月14日 (水)

映画3連敗

3月・4月はオモテ稼業が忙しいからといって、休日に何もしないのもむなしいし、たまたま観たい映画がいくつかあったので、平日のレディースデイの時や、年間会員になって回数券を先に購入してる映画館にかかっている時に観に行った。
『ダージリン急行』(京都シネマ)
『ジプシー・キャラバン』(みなみ会館)
『非現実の王国で —ヘンリー・ダーガーの謎—』(みなみ会館)
…………全て悪くない映画なんだが、疲れている時に観る映画ではなかった。すべて、途中に寝てしまったのよ! 体調を考えてチョイスすべきだったと反省。ロードムービーやドキュメンタリーは危険だ。

 『ダージリン急行』は、ちょっとエキセントリックな3兄弟がインドの大地を列車で旅行するアメリカ映画。インドが舞台ってことで、観にいったんだが、3人の性格がフツーじゃなくて、展開も凝っているのだが、それほど大事件!やクライマックス!がないので、つい油断して意識不明に。
 『ジプシー・キャラバン』は、インド・マケドニア・ルーマニア・スペインのジプシーが集まって、アメリカ国内の公演キャラバンをうつ。それをドキュメンタリーで追いながら、彼らが自分たちの生活や生き方を語るのを、祖国の映像を交えながら描くドキュメンタリー。ジプシー(彼らは自分たちのことを「ロマ」という)は、私が10代の頃、インドにハマる前からイメージ的に好きだった。そんなに深く考えてなかったから、なんかあの絵になる雰囲気が好きだったんだろう。その後、ロマの発祥の地がインドのラジャスターンだと知って、5年前にはそこに旅行もできたし、なんやかやとやっぱり興味は続いている。この映画の中では、マケドニアの歌姫(といっても貫禄あるおばさん)・エスマがいちばん存在感がある。ポルトガルのファドにも似た歌声が印象的。
 『非現実の王国で』のヘンリー・ダーガーのことを知ったのは、つい最近のことだ。よしながふみの対談集『あのひととここだけのおしゃべり』(太田出版)の中に出てきて、世の中にはへんな人がいるのだと知って、『ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で』(作品社)という本が出版されているとわかったのだが、あまりに高いので(6825円)、とりあえず図書館で品定めをして、良ければ買おうと思ったが、なぜか予約が並んでいて、本を見る前に映画が公開され(だから予約があったのか)、先に映画を観たという次第。あの絵を、ペープサートのように動かして。やっぱりワケワカメななんともいえない映画だった。

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2008年2月27日 (水)

映画『スウィーニー・トッド —フリート街の悪魔の理髪師—』

 午前中に休日出勤して、せっかく外にでたので、レディースディでもあったし、帰りがけに『スウィーニー・トッド —フリート街の悪魔の理髪師—』を観てきた。
 ティム・バートン監督、ジョニー・ディップ主演で話題の映画で、今さら説明もいらないとは思うが、う〜ん、これって観た人バラバラな感想が出そうと思ってしまった。
 まず、これR−15指定で、けっこう血みどろ。で、もとがミュージカルなので、映画も歌が続くミュージカルなのだ。前売りの頃から映画館でも大きな看板があって、ずいぶん積極的に宣伝していたが、なんていうか、世間の人がフツウに観るフツウの映画じゃないのに、一般人をダマしちゃいけないなあ、なんて漠然と思ってしまった。これって、創る側のことではなく興業する側の問題だと思うが。前の『チョコレート工場の秘密』がいやにメジャーなつくりになっていたのだが、どっちかいうとほとんど同時に劇場にかかっていた『コープス・ブライド』あたりのティム・バートンをイメージしていたらそれほどギャップはないだろう。それとも、ティム・バートンのシュミに凝りまくる凝り性は、ひろく一般に支持されるようになったのかなあ。
 しかし、ジョニー・ディップは、とことん役にハマる人なんだなあと感じてしまった。おまけに年齢不詳。昔、『シザーハンズ』を観たときは名前を知らなかったが、それから20年はたってるはず。でも、ウィリー・ウォンカはおじさんに見えない。そして、知らない人がみたら、ウォンカとトッドは同一人物とはちょっと思えないだろうなあ。見事だ。いや、観るまでしらなかったが、ハリポタのピーター・ペティグリューとルシウス・マルフォイが出ている〜と思ってしまったもので、つい。
 今回は、歌もすべて自分で歌っていて、それはヘレナ・ボナム=カーターをはじめ、主な俳優さん方も同様のようで、凝り性の監督には多才で器用な人たちが集まるのか。

※さわやか革命さんよりご指摘がありました。ルシウス・マルフォイではなくて、スネイプ先生ですね。何を勘違いしてたんだか!

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2008年1月20日 (日)

映画『光の六つのしるし』

 スーザン・クーパーのファンタジー『闇の戦い』シリーズの第一作『光に六つのしるし』の映画化。
でも、これ、観に行った人いる? 前述の『その名にちなんで』と同じ12月22日に公開開始だったらしいのだ。しかし、私が気がついたのは、1月5日になってから。たまたま、『その名にちなんで』の時間を確認しようとして新聞を見たら、別の映画館でタイトルがあったのよ。「Lマガジン」にも紹介が載っていなかったし、CMや書評も見たことなかったので、ぜんぜん気がつかなかった! それも、その時点で、16時台と19時台の1日二回。字幕のみ。おまけに、1月11日で終わり。(あ、18日までのびてたようだ) ウムム…… そんなに出来が悪いのか。
 実は、私はこの原作が大好きだったのだ。といっても、20数年前に読んだので細かいところはすっかり忘れてしまった。(またか……) 評論社の『闇の戦い』シリーズは全4冊。時を越える〈古老〉たちを主人公にアーサー伝説を絡ませたいかにもイギリスっぽいファンタジーだ。その頃、その外伝の『コーンウォールの聖杯』は学研から出ていたが絶版になっていた。それからず〜っと後の2002年に、ハリポタにはじまったFTブームのおかげで、めでたく『コーンウォールの聖杯』が復刊された。そこで、この際だと全4巻と外伝をまとめて大人買いした。あらためてみると、『闇の戦い』の4冊はこんなに字が小さかったかしらと思っていたら、そのあと2006年から2007年にかけてソフトカバーでこぎれいになって字も大きくなって新版が出た。映画化にあてこんだか? でも、旧版の方が、装幀としては好きだなあ。
小説の好きな順位としては、私は、指輪>ゲド>闇の戦い>ナルニア>ハリポタの順だ。映画なら指輪ぶっちぎり、他は判断停止。(ナルニアは観ていないのだが)
 で、映画の方だが、思ったより悪くはなかったが、観ても原作のおもしろさが思い出せなかった。だから、映画としてはおもしろくないの。
 イギリスのバッキンガムシャーの田舎町のイメージは色彩を抑えた雰囲気ある舞台をつくっている。(が、撮影はルーマニアだったらしい) CGもまずまず。主人公は原作の11歳ではなく、14歳の少年だが、それについては特に異論はない。オジジ・オババの脇役もいい味をだしている。
 ただ、話がとても観念的。観ているあいだ、ず〜〜〜〜っと「なぜ?」「どうして?」という疑問がつきまとう。光と闇の戦いというけど、闇ってなによ? 観た感じ、悪は男ひとりで、どう悪いのかわからん。闇が勝つとどうなるの?(異常気象で人類滅亡なのか?) なぜ6つのしるしが必要なの?
パンフレットで、井辻明美さんが〈土俗〉〈風土〉という言葉を使って、原作FTの解説をしているけど、それを映画化するのってむつかしいってことかな。残念ながら成功していない。
おまけに絵的には、公開が後になった宿命で、先の映画の「○○みたい」と連想されるシーンもある。石を探してベルトにつける設定などは、へタすりゃエミリー・ロッダの『デルトラ・クエスト』の方がヤングアダルトによく読まれているから、逆につっこまれそうだ。

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2008年1月18日 (金)

映画『その名にちなんで』

 『サラーム・ボンベイ』『ミシシッピー・マサラ』『モンスーン・ウエディング』などの映画で知られるミーラー・ナーイル監督(女性)の最新作。先日『パンズ・ラビリンス』を観に行ったとき予告があったので気がついたのだが、上記のようなそれらしいタイトルじゃないから、あやうく見逃してしまうところだった。でも、これは原作小説があって、その邦題をそのまま使ったようだ。が、いまいちインパクトが弱いような気がする。
 しかし、ストーリーは、やっぱり映画化するならこの監督しかいないだろうというような、今までの作品傾向とピッタリしたものだった。
結婚して夫の仕事先のアメリカで暮らすことになったインド人夫婦と、アメリカ生まれのその息子の物語。インド文化(ここではベンガル人)とアメリカ文化のとらえ方や、その狭間で暮らす心情が親も子どももすごくリアルに描かれていて、とても興味深い。このテーマは、この監督の十八番だ。
それに加えて、今回は「名前」というキーワードを持つ。名前が大切で、名前にこだわるということは、民族性以外にも、個々人による価値観もあり、それほど同調を感じないのだが、とりあえず、ここではストーリー上重要な意味を持っている。
 つい、大好きな「インド」だからという観点で映画をみてしまうのだが(実はこれはアメリカ映画なのだが)、その枠を越えた人としての生き方で一つ印象に残るシーンがあった。
息子が聞くのだ。「ぼくを想うたびに、死にかけた事故のことを思い出す?」
それに父は答える。「いや、むしろそれ以降のすべてを想い出す。その後の毎日が天の恵みだ。」
ああ、どんなことがあっても、天の恵みと想える心もちで生きられたら、おだやかに生き抜けるだろうなあ、と思うと心が痛くなった。死にかけるような経験がなくても、その気持ちで生きられたら、自殺者はなくなるだろうになあ。

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2007年11月28日 (水)

映画『長江哀歌(エレジー)』

 ちょうど10月が、みなみ会館の年間会員の更新時期になっていた。
たまたまレディースディの水曜日が休日にあたったので、更新がてら、今やってるもので何か見てこようとネットで確認した。みなみ会館はワンスクリーンだが、レイトショーまで含めて日に3〜5本入れ替わり立ち替わりかかっている。
 その中で選んだのがこれ。この作品自体もジャ・ジャンクー監督についてもほとんど何も知らなかった。有名な俳優さんも出ていないようだし。ただ、最近アクションやCGバリバリの中国映画が多くてちょっとウンザリしていたので、これは久しぶりに地味で落ち着いた映画のようだと期待した。私は、中国映画なら『赤いコーリャン』や『紅夢』あたりの頃のチャン・イーモウ監督の映画がお気に入り。
 『長江哀歌(エレジー)』は、三峡ダムのプロジェクトによって、打ち壊され、住民が立ち退かされ、水没する運命にある奉節(フォンジェ)を舞台に庶民の生活を追っている。主人公格は4人。16年前に別れた妻と子を探しに来た男と、その妻。2年間音信不通の夫に会いに来た女と、その夫。その2組の男女は直接の知り合いではないが、話の中で幾度かすれ違う。その周りの人々も少しずつどこかでつながっている。しかし、最後までドラマチックなことはおこらない。住んでる家がとりこわされたり、仕事仲間が死んだり、再会の場で別れの言葉を交わすということはあるけれど、すべてが淡々をすぎていく。本当に淡々としたまま終わってしまったけど、その言葉の裏、映像の描写の裏を考えさせられる映画で、とても良かった。
 しかし、わからないころもいろいろあったので、あとでパンフレットを買って、解説を読んだら、自分が気がつかなかった描写や伏線がいろいろあることに驚いた。周りの奉節(フォンジェ)の住民の人たちの顔って、みんな似ているようで、絡みに気がつかなかった所もある。ロケの様子もなかなか大変だったようで、おもしろい。パンフレットを読み込んで、復習にもう一度観てみたい映画である。

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2007年11月19日 (月)

映画『パンズ・ラビリンス』

 さわやか革命さんのブログをみて、無性に行きたくなった。が、その時10月31日、MOVIX京都が11月2日まで、京都シネマが11月9日まで。うわ〜ん(>_<)、き……きびしい! 
それでも、次の月曜の休日に行こうとしたら、上映時刻が変わっていて。夜のみの上映になっていた。……あかん、最近、仕事の日はまっとうに家で夕食を食べていないから、夜はまずい。……と思ったけど、仕事で遅くなるのを一日やめて、映画を観て遅くなることにした。
それなら水曜日に行こうとしたら、この京都シネマはレディースディがないかわりに、水曜日は「映画ファンデー」で男女とも1300円で入れるらしい。19時からだが、仕事帰りでギリギリなったら、立ち見になった。(といっても。立ち見は6人ほどだったので、壁際の通路に座り見した) それでも、ここは途中入場お断りだから、入れただけでもラッキーかも。

 前置きが長くなったが、この作品について、先のブログ以外全く予備知識がなかった。オモテ稼業が繁忙で沈没していたし、どうも最近リニューアルしてから「Lmagazine」の誌面が見にくいので、読み込んでいない。タイトルでさえ、初めはピンとこなかったが、ああ、「牧神の迷宮」という意味ね。
 舞台は内戦終結間もないスペイン。山の中ではゲリラがまだ抵抗を続けている。母の再婚相手の大尉のいる山奥の駐屯地にやってきた少女、オフェリア。彼女の幻想の王国と陰惨な現実が絡み合う迷宮の果ては?
 結果、少々無理をしてでも、観に行ってよかった〜! モロ私好み。でも、PG-12の指定で想像できるように、けっこう血みどろでグロいし、好き嫌いがはっきり分かれそうな作品で、万人にお勧めできない。……って、どっかで書いたようなフレーズだと思ったら、以前観た『ローズ・イン・タイドランド』の時だっけ? (念のために読み返したら、あれはP−15指定だった) 
ヒロインが死んで泣きが入るところは、戦争の絡みもあって『トンマッコルへようこそ』を思い出してしまった。ファンタジー世界の造形は『ダーク・クリスタル』を彷彿させる。だが、ストレートに○○みたいと言わせないのは、ラテンの独特の魅力なのか。
 駐屯地にスパイとして入り込んでいるメルセデスやゲリラの面々を観ていると、いかにも「スペイン〜!」って感じのラテン系の顔だ。ラテンというと、陽気で明るい・情熱的というイメージの人も多いけど、「わが子を食うサトゥルヌス」を描いた画家のゴヤもスペイン人だし、ポルトガルの音楽ファドも暗いし、ラテン・アメリカの作家ガルシア・マルケスの作品のダークさにも通ずる。デル・トロ監督もメキシコの人らしいし、作品全体にそんな独特の雰囲気を醸している。

 最後に、ミーハーな感想を。マンドラゴラはけっこうかわいい。ペイルマンはなかなかユニーク。ビダル大尉のすばらしい悪役ぶりがいい。(あまり関わりたくない人種だが)

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2007年10月 6日 (土)

映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』

 期末試験の終わった(2期制なので9月下旬が前期期末になる)サトル(中3)といっしょに、レディースディに『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を観に行った。
 エヴァは、TVも前作の2部作の映画も、絵が間に合わず、ストーリーも破綻しているので作品として評価は低い。ただ、それでもそそられる魅力的な設定や懲り様を持っているのはたしかだ。
 今回の映画は4部作になるらしい。1作目はヤシマ作戦までが描かれているが、絵はさらに懲りまくっている。設定も変えているところがいくつもある。観ていて「うっわ〜、カッコいい〜〜〜」と見とれるシーンが数ある。願わくは、この絵を最後まで維持して、ストーリーも破綻せずに最後まで描ききってほしい。正直、前作映画の後編のような中途半端なものにカネを払いたくない。(パンフレットもひどかった) 次回予告はあったけど、公開期日は出ていなかった気がする。別に急がないから、きっちりと仕上げてくれ。
 観に行った日はレディースディだったが、観客は比較的男性も多かった様な気がする。なんといってもすごかった(という表現が正しいのか?)のは、話が終わってエンドロールが流れても、誰一人立ち上がらないのだ! エンドロールが終わって、次号予告があり、客電がついて明るくなって、みんな立ち上がった。……そういう人種しか観に来てないってことか?

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2007年9月17日 (月)

映画『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』(吹替版)

 映画を観たのは7月下旬だったんだが、公開してすぐにイチャモンつけるのもどうかと思うし、原作があるからネタバレもなにもないと思うが、感想を書くとやっぱり話のスジにふれてしまうのでしばらくねかせておくことにした。
 さて、そろそろよかろうと思ったが、もう細かいところが忘れかけている。最近ボケがすすんでいかんなあ。というか、あんまり記憶に残らない映画なのか。私は原作を読んでいる派だが、読んだのは1年以上前で、これももう細かいところが忘れかけている。が、上巻でハリーがず〜っとイライラしていて読むのがとてもしんどかった印象がある。映画では、そのイライラ度が少なかった。なぜ? と思って、原作を再度流し読みしてみた。ロンとハーマイオニーが監督生になっておいてきぼりにされた気分や、OWL(普通魔法使いレベル試験)のウツウツな試験勉強のこと、「日刊予言者新聞」の悪意ある記事のことなど、ネガティヴなネタをとばしているか、すごくあっさりと流している。別に原作に忠実にとはいわない。がんばって2時間18分のエンターテイメント映画にしたんだなあと、その苦労がしのばれる。それは『炎のゴブレット』でも感じたが、残念ながら4作目よりまとまりがない。
 ロンもハーマイオニーも今回はあまり活躍の場がなかった。不死鳥の騎士団の面々もマルフォイもネビルもチョウもひととおりサービスで登場はしているけれど、別に短い時間でムリしてオールキャストにしなくてもと思ってしまって、消化不良になりそう。また、ハーマイオニーの推奨するSPEW(しもべ妖精福祉振興協会)やダーズリー家(というよりパチューニアおばさん)がどうしてハリーを追い出さないのかというような、本筋ではないが伏線の部分はすっとばかしている。単品エンターテイメントにしようとしている部分もあるし、シリーズとしてひっぱろうとしている部分もあるし…… 完結まであと2作、なかなかこういう連作ってむつかしいね。
 今回光っていたのは、アンブリッジ先生とルーナ・ラブグッドだった。

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2007年7月19日 (木)

小説『日本以外全部沈没』

 約1年前に映画『日本沈没』を観たとき、これも読んでおこうと思って図書館で予約をしたのだが、今年の3月頃やっと順番がまわってきた。が、その時と〜〜〜っても忙しかったのと花粉症でメロメロだったので、読むのをあきらめて、次の人にまわして、予約をつけなおした。しかして、この7月になってようやくまた順番がまわってきた。……ふう、長い道のりだった。もう『日本以外全部沈没』の映画もとっくに終わって、遙か昔にブログネタになっている。
 この作品自体は古い作品で、雑誌初出は1973年で、筒井康隆のいろいろな本に収録されている。私の読んだのは、徳間文庫の『筒井康隆自選短編集3【パロディ編】日本以外全部沈没』。ヘンな小説ばっかり収録されている。なかなか他の人にマネできない発想と毒がある。すごいなあとは思うが、けっこう放送規制用語などもでてきて、キモの小さい私などは「大丈夫か!?」とヒヤヒヤしてしまう。
 …って、本題の『日本以外全部沈没』だが、この本で30ページ弱のとても短い短編なのだ。それも最初から最後まで、「クラブミルト」の店内での会話だけなのだ。あの映画、よくこのネタをいろいろ盛り込んで料理したなあと感心する。それもツボを心得たふくらまし方だ。筒井さんご本人も出演しているくらいだから、原作者にとっても映画の評価は悪くなかったのかなあと思った。

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2007年5月22日 (火)

映画『バッテリー』

 公開終了2日前のギリギリのレディース・ディにかけこんだ。原作の印象のよかった作品の映画化は、ほとんど期待しないで観に行くのだが、『デスノート 後編』に続いてうれしい誤算で、期待以上によかった。それに、これなら『ゲド戦記』とちがって、原作を知らない人でも、楽しめるし、泣けるぞ。2時間枠で一作品として、とても上手くまとめてある。ただ、そこらへんの端折り方が、原作の一部萌えの人たちには少し物足りないかもしれない。
 私は原作読んだ派なので、つい原作と比べて感想を書いてしまうが、原作読んでない派の感想はまた違ったものになるだろうと思う。(ブログ書く前にあまり他の人の参考を探さないので)
原作は以前に何年かにわたって(ハードカバー全6巻は、1996年から2005年まで、完結するのにおよそ10年かかっている)読んでいた。しばらく読み返していないので、細かいところは忘れてしまったが、ほぼ原作に忠実なイメージづくりとキャラ設定にしている。ただ、2時間でまとめるためか、登場人物の何人かは省略され、整理されていた。ストーリーも、終始、原田巧と永倉豪を主人公に据えて、バッテリーの関係と巧の家族関係を中心に描いていて、その作り方はこの枠では正解かと思った。
 原作は、グングン読み進めてとてもおもしろいし、キャラクターの書き込みや心情の表現が丁寧でしっくりとなじむ。が、後半になって、門脇やおミズや海遠寺くんが出てきて画策しはじめると、そっちのほうに作者のペンが走って、主人公たち(巧と豪)があまり動かなくなるのだ。個人的には、おミズのようなキャラは大好きなんだが、私の目からみたら主役を食ってしまってるようにみえて、「ストーリー上、やっぱりそれはいかんよなあ」と思っていた。そこらへんの想いが、映画では見事に解決している。原作の後半をバッサリとカットして構成されていて、かわいそうに、海遠寺くんなんて監督に1回名前を呼ばれたきりなのだ。
 もう公開は終わってしまったが、もう少し早く観て、ブログに書いて宣伝しておけばよかったと思ってしまった。

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2007年1月19日 (金)

映画『デスノート 後編 The last name』

 日に2回の上映になっていたけれど、けっこう長くかかっているので、年末の水曜日に観に行ってきた。もうあまり混んでいないだろうと思ったのに、レディースディのせいもあってか、15分前に着いたら、前3列と一番後ろの席しか残っていなかった。
 前編は、後編が映画館にかかる前にTVでやってたので、それで観た。……というような姿勢でわかるように、まったく期待せずに観に行ったのだ。有名なマンガの実写化というのは、アニメ化以上に失望することが多い。ましてや、ストーリーを変えていたりすると、原作よりよくなった例はまずない。……と思ってしまうのは、きっと大昔にNHKで観た『11人いる!』の実写版のトラウマがあるせいかもしれない(^_^;) でも、『ブラック・ジャック』も笑えたし、『動物のお医者さん』もイマイチだったし……(漆原教授はなかなかよかったが)
 しかし、今回は前言撤回! これは、思った以上によかった。話のまとめ方としては、原作以上かも!?と思ってしまった。原作は原作でいいのだが、どうしてもLが死ぬまでの第1部とその後の第2部でストーリーが分断してしまう。そして、月とLの絡みがある第1部の方がやっぱり萌えるのだ(^_^;) 第1部の萌えを維持したまま、ストーリーに破綻なく、ラストまで持っていってるのだ。約2時間半のけっこう長尺なのに、たるみがなく、緊迫感に笑いを交えて、飽きずに観きることが出来る。それにこの結末はこれはこれでいいかも。
 それに、あちこちで言われているけれど、松山ケンイチ=Lが秀逸! いや〜、よく役作りしている。観ていて楽しい。ミサミサ役の子もなかなかいい。死に神のリュークは前編で観たとき、「ちょっとサイズが小さくないか?」と思ったけれど、後編では違和感がなかった。その他もキャラも出来るだけ原作イメージを近づけようとしているのが感じられた。

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2007年1月17日 (水)

映画『パプリカ』

 夢も中に入り込み、治療を行う美少女パプリカ。それは、精神医療研究所の研究員・千葉敦子が極秘のセラピーを行う時のコードネーム。そして、他人の夢を共有できるようになるという開発中の治療マシン「DCミニ」が盗まれるという事件が発生する。
 京都のみなみ会館の会員になったので、月曜日に会員価格で、今敏監督・筒井康隆原作の『パプリカ』を観てきた。以前、予告を観たときおもしろそうかなと思ったのと、意外とロングランでかかっていたし、竹熊健太郎さんのブログでホメていたので……
 原作は筒井康隆で、原作は読んでいないが、それらしいストーリーで、映画としてもまとまっている。なによりもすごいといわれているのは、映像表現の妙だ。凝り性だね。脇役で監督と原作者がペアで声をアテているようなお遊びも忘れていない。評価が高いのも、まあわかる。
 ここで、絶賛できなのは、もう好みの問題というしかない。映像はすごく凝っているので、「ああ、すごいね」とは思うが、「いいね」とは思えないのは、美しさが感じられないせいか。人物像のむさくるしさや不細工さも含めて、実写に近い「リアル」と評価するなら、もう少しリアルでなくていいから、美しいほうがいいなあ。パプリカは美少女にはちがいないかもしれないが、あまり色気が感じられない。つまり、あまり惹かれるキャラクターがないのだ。
 人物の作画としては現実的でリアルだけれども、夢をテーマにしているので、画像としてはシュールで幻想的なイメージであふれている。ここらへんは、たしかにとっても「すごい」のだが、こればかりが突出してウリになってるような気がして、作品として「すごい、よかった」と思えなくなる。。
 それと、この監督の作品は今回初めてみたけれど、映像的に大友克洋の影響を感じた。パンフレットをみたら、けっこう関係が深かったのねと納得した。『ワールド・アパートメント・ホラー』(大友克洋の監督作品の映画)の漫画化、『老人Z』(大友克洋原作のアニメ)の美術設定を手がけている。パンフには書いていなかったが、七福神や人形のパレードは、『AKIRA』のグロテスクな子ども部屋でオモチャが動き出す場面をホーフツさせた。他の作品を観ていないので、決めつけるのもよくないが。

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2006年11月27日 (月)

映画『トンマッコルへようこそ』

 韓国映画。朝鮮戦争時代、北の兵士と南の脱走兵と飛行機が落ちたアメリカ軍人が、桃源郷のような架空の村・トンマッコルに迷い込む。はじめはお互い反目していたが、マイペースな村人にとりこまれるように、村になじんでいって……
 映画のレディースディの水曜日が休日だったので、新聞の映画欄からチョイスして観に行った。ベタな言い方だけど、とってもよかった! 絶賛!! 観に行ってよかった〜!!!
 笑いと泣きが3対5ぐらいで味付けされていて、笑えるし、泣けるし、脚本がうまいのか飽きさせない。舞台設定も工夫がされていて、描写が丁寧だ。村に行く森のなかに点在するユニークな道祖神、村のさまざまな暮らしぶりの描写、花咲く草原のひろがり、夜の明かり……みんな絵になる。
 私は韓国映画にそれほど詳しくないので、知っている役者さんはいなかったが、みんな個性的でうまい。北の指揮官もシブくていいが、天然なヒロインを演じた女の子がとても印象的でよかった。
 韓国にはめずらしいファンタジー系らしいが、なんとなく『まぼろしの市街戦』と『エヴァンス博士の沈黙』(ソビエト映画)を連想した。話はぜんぜん違うけど、直接戦場が舞台でない戦争反対映画というか……、なんかテーマ的に。これを北朝鮮でも上映できたらいいね。
 あと、音楽が「なんかどこかで聞いたような久石譲のような音楽ね」と思っていたら、ホントに久石譲が音楽を担当していた。

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2006年10月30日 (月)

映画『死者の書』

 先日の水曜日のレディースディになにか1本観ようと、当日の朝、新聞の映画館の案内を見くらべて、これに決めた。公開は、例のごとく「みなみ会館」。最近、ここのが多いなあ。
 折口信夫の原作に、川本喜八郎の人形アニメーション。奈良時代、仏教に傾倒する藤原南家の郎女が、50年前に亡くなった大津皇子の魂を鎮めるというストーリー。(いいのか、こんなあらすじで!)独特の雰囲気に、微細にわたった丁寧な人形も美しい。人形のモブシーンの動きが細やかでまたすごい。いい作品だと思うよ……思うけど、ああ、ゴメン、途中寝ちゃったのよ! あのまったりとしたテンポに合わなかったのか。仕事の疲れがのこっていたのか。原作を読んでいたら、ちょっと印象がかわったかなあ。でも、どちらかというと、川本喜八郎で観にいったし。
 声に、黒柳徹子、岸田今日子というなかなか濃い人たちがワキを固めていた。

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2006年10月25日 (水)

映画『日本以外全部沈没』

 小説の方を読む前に、公開の映画が終わりそうなので急いで観てきた。
京都ではみなみ会館で公開されていて、例のごとく1スクリーンシネコン状態で、1日1回、時間がコロコロかわる。行けるときに行っておかないと。
 先日インド映画を観たとき予告をやっていて、とってもバカらしくおもしろそうだったのだ。
して、実態は?! 大作でもなく、肩肘を張っていない、しかし凝ったB級映画だった。新作映画『日本沈没』ではあれほどイチャモンつけたが、こっちはこれはこれでいいのだとヘンに納得した。
 舞台設定は現代に移しているが、アメリカとの関係や北朝鮮やニューカマーの問題や日本人の島国根性などをキョーレツにパロっていて、クソマジメな一般人がみると眉根をよせそうなところがある。これを笑い飛ばせなくてはSF者じゃない! 時代を変えても、いかにも筒井康隆という毒のあるコメディで、おまけにご本人も特別出演している。旧御本家『日本沈没』のTV版の村野武範と映画版の藤岡弘、のカップリングの出演というのもおいしい。やっぱり藤岡弘、の存在感バツグン! それにいろいろな方達のそっくりさんがおかしい。
 シュミでやっているのかと心配するようなみなみ会館だが、これはそこそこ入場者数が多く、ヒット作品だったようだ。

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2006年10月 9日 (月)

マサラムービー第2弾『ヴィーラ』

 京都みなみ会館のスーパースター・ラジニカーントの「踊る!兄貴まつり」で観た2作目。関西初公開らしい。副題は『踊るONE MORE NIGHT!』、いろいろ考えるねえ。今度のラジニは、歌手志望からスーパーシンガーになる主人公。1994年の作品だから、『チャンドラムキ』の出演時より10歳ほど若いが、やっぱり新人歌手というにはちょっとトシを食ってるような……
これも162分、たっぷり歌も踊りもある。前半はわりと破綻なく話は進み、その分笑える場面が少なかったが(何を期待してるんだか)、後半はハチャメチャで笑えた。
『ムトゥ 〜踊るマハラジャ』にも出ていたミーナーが二人のヒロインの片方を演じていた。目がクリクリと大きくて、やっぱりチャーミング!
この作品のパンフレットがなかったのは残念。

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2006年10月 8日 (日)

久しぶりのマサラムービー『チャンドラムキ』

 京都のみなみ会館で「踊る!兄貴祭り」という楽しい企画があった。インド・タミル語映画界のスーパースター・ラジニカーントの新作『チャンドラムキ』の公開に際し、9月30日〜10月8日まで、『ヴィーラ』『パダヤッパ』『バーシャ』『アルナーチャラム』と併せて5作品が上映された。
 久しぶりのマサラムービーだ。いっとき『ムトゥ・踊るマハラジャ』や『ラジュー出世する』がかかった頃は年に1〜3作観ることができたが、数年でブームは失速した。やっぱり上映時間が長いと採算がとりにくいんだろうか。それに、公開されるマサラムービーが全部おもしろいとは限らない。でも、公開されたマサラムービーはできるだけ押さえておくようにしている。良いも悪いもつっこみどころが満載なので楽しい。さても、5作品が一挙にかかるなんて剛毅だなあ。すごいぞ、みなみ会館! が、仕事の都合で、観れるのは『チャンドラムキ』と『ヴィーラ』の2作品だ。『アルナーチャラム』は以前観たので、今回はパス。とりあえず、まず新作を鑑賞。

 水木一郎じゃあるまいし、いつの間にラジニカーントが「兄貴」になったのか知らなかったが、スーパースター・ラジニももう50代、ちょっと老けたね。しかし、スーパースターの座ではなかなかイメチェンが難しいか。ラジニ主演の映画は、邦訳のサブタイトルに『踊る〜』がよくつくが、『チャンドラムキ』のサブタイトルは、『踊る!アメリカ帰りのゴーストバスターズ』だ。これだけで笑える。初登場シーンで笑える。精神科医はテレパスなのか!? やっぱり笑える。突然の歌とダンスのシーンも、当然笑える。しかし、165分。『ムトゥ』に比べたら、ストーリー運びがたるいぞ。途中ウトウトしかけた。
2005年の新しい作品ということもあり、IT王国インド、CGがバリバリに使ってある。でも、実写になると、タミル語圏でロケしているので、背景が熱帯で田舎なのだ。このアンマッチ度がまたいい。いいなあ、南インド、行ってみたいなあ。

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2006年8月23日 (水)

映画『カーズ』

 オモテ稼業の休みは、ほとんど不定休状態なのだが、ときどきラッキーなことに予定のない水曜日が休みになったりする。水曜日といえば映画のレディースディだ。時間と体力があるときには、できるだけ行こうと思っているのだが、夏休みは子どもが家にいる。幸いこの日は、タクヤ(6歳)は学童保育の遠足。いってらしゃ〜い\(^O^)/
 サトル(13歳)を連れて行ける映画は、『カーズ』か『ブレイブ・ストーリー』か……
そこで、さわやか革命さんの「ひねくれ者と呼んでくれ」のこのブログ
(http://pretzel-logic.way-nifty.com/blog/2006/07/post_70e1.html)をみて、『カーズ』のほうにした。そこのリンクから、tekutekuさんの「水曜日のシネマ日記」のこのブログ
(http://blog.goo.ne.jp/tekuteku_2006/e/6e5e9aa6837c247d20d05df7fbe04de6)もみて、字幕版と吹替版のちがいも興味をもったのだが、8月に入って気がついた時点では、京都市内では吹替版しか上映されていなかった! 映画館にいくと、看板に「字幕版は終了しました」とテプラが貼っていた。そんなに、大人を呼び込めなかったのか…… そうだよなあ、私も「なんか子どもっぽい〜」と二の足踏んでいたもんなあ。
 ……、と前置きが長くなったが、この映画、正直『ゲド戦記』より数段おもしろかった!!! 二の足踏んでた私が悪うございました。いっしょに行ったサトルも「これのほうがタッくん(弟のこと)も喜ぶと思うよ」という、大人も子どもも満足させる内容だ。ピクサーはもともと人間をあまり出さないけど、これも目鼻がある車たちが、なんと!人生ドラマしてるのよ〜 含蓄のあるストーリーでほろりとさせられるし、笑いのツボもしっかり押さえている。いけすかない主人公の性格からして、だいたいのストーリーの大筋はわかってしまうんだけど、見せ方がうまい! それに、画面懲りまくり! こまやかな仕草や動きはもちろん、光や水や反射の写り込みなど、ピクサーってすごい!
 ピクサーの映画で、最初のアイキャッチで電気スタンドのぼうやがでてくるたびに、20年ほど前「広島国際アニメフェスティバル」(第2回だった思う)で、この短編CGアニメを観たことを想い出す。そのころはピクサーという名前をしらなかったが、あの愛嬌のある姿となめらかな動きがとても印象に残っている。進化しつつ、作品の質を下げないのはたいへんなことだと思う。見習ってくれ、ディズニー。

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2006年8月15日 (火)

映画『ローズ・イン・タイドランド』

 2005年12月21日のブログで書いたミッチ・カリンの小説『タイドランド』をテリー・ギリアムが映画化した。とっても楽しみにしていたのだけど、これは単館ロードショーの上、P−15指定(死体処理の場面とかがひっかかってるのかと思う)なのだ。京都では「みなみ会館」で上映されているが、ここは1スクリーンでひとり時間差シネコン状態のようなプログラムを組んでいるので、2週間ほどの上映期間でも、1日1回〜2回の上映時刻がコロコロかわって、なかなか行くチャンスがない。少々ムリをして、午前中『ゲド戦記』を観た日に、午後遅く一人で観てきた。仕事の日は行けないし、レイトショーもしんどいし、休みの日は有効に使わなくては。
 で、この映画よかったです〜 前作の『ブラザーズ・グリム』よりも好き。でも、P−15指定だし、好き嫌いがはっきりわかれると思うので、万人にはお勧めしません。
 『ゲド戦記』の後で観たせいでよけいに思うのかもしれないが、映像でみせるストーリーの伏線や状況描写がすごーくうまい! 街での生活や田舎に行くまでのエピソードの中に、パパさんの死の暗示があるし、ラストで重要になる線路がストーリーの途中で何度もさりげなく描かれている。いくつもいくつも「あ、あのシーンはこの伏線だったのか」というのがある。セリフはないけど絵で想像させるストーリーがある。
 それに、主人公のジェライザ・ローズを演じる10歳の女の子がとてもすごい! 大人も舌を巻くうまさだ。といっても大人びた演技というわけではない。ワキの役者もみんなうまくて、個性的で役にはまっている。
 それほど金をかけた大作ではないけれど、充実した作品だった。

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2006年8月14日 (月)

映画『ゲド戦記』

 はい、これがこの夏の家族サービス第3弾。(第1弾はスパワールド、第2弾は工場見学)
といっても、まあこっちも観ないわけには感想も書けないし〜〜〜ということで、どうせひとりでも観に行くつもりだったのだが。しかし、タクヤ(6歳)は退屈していた。サトル(13歳)はおもしろいのかどうかよくわからんという顔をしていた。私は……
 ……たるい。かったるい映画だった。ストーリーにヤマ場がない。アレンの影のはなしと、クモのねらう永遠の命のはなしと、竜の絡みと……なんか話がバラバラ。それに原作の名声に頼りすぎてないか? いきなりロークやアチュアンといった言葉がでてきてもわからんよ。みんなアースシーの世界を知っているor予習してきていると思っているのだろうか。予備知識がなくても、映画だけで楽しめる映画を創ってほしい。もう少しさりげなく細やかな状況描写を入れて、登場人物の性格や心理描写も入れて、クスリと笑えるような場面もできたら入れてほしい。……って思うのは欲張りか?
 それに声優さん、初めての人が多すぎ! 菅原文太はしぶいけど、できればワキは手慣れた声優で固めてほしかった。みんなヘタとはいわないが、役にはまりきれなくて硬い印象を受けた。
 ……というわけで、ジブリの前作の『ハウルの動く城』で辛い点をつけたが、これはさらに辛い点をつけさせてもらおう。
 ところで、原作の初めの3部作を読んだのは20年以上前なので、こまかいところは全く憶えていない。だから、原作と比べることはできないので、これは純粋に映画だけを観た感想だ。原作の3部作は内容は憶えてなくても、とってもおもしろかった記憶があるが、ずっと後に出た4部や5部は少々かったるかった。ル・グインって、SFでも読みやすいのと読みにくいのがあって、むつかしい。もう1回読み直そうかなあ。(最近そんな本ばっかり?!)

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2006年8月 8日 (火)

映画『日本沈没』

 実は観たのが5月29日の試写会なのだが、7月15日封切りで「もうそろそろ書いていいかな」と思うので、書くことにした。できれば原作も読んでからと思ったのだが、仕事がらみの本読みに阻まれて、30年前のカッパノベルズの字の小ささになかなか進まず、それはまたあとで。
 …………で、観て、なんといっても思ったのが「え?! 日本列島って沈みきらないのぉ〜!?」(完全なネタばれですね(^_^;) だから前日の章を先に書いておいたのだった。) 原作は未読だが、有名なSFだし、「たしか作者の小松先生は、国土を失って日本人が世界を放浪する話を書きたかったが、第1部で日本を沈没させるのに熱が入ってしまって、それが大ヒットして、後の話をかきそびれた」というのをファンダム筋からきいていたのだが、ち、ちがうのか!!! そう、この映画では完全に沈没する前に救われて、最後の方で指導者役の危機管理担当大臣が「いつか国民が再び日本に帰れることを願って」というようなことをいうのだ。こんな望郷の願いを未来の希望にして終わっちゃっていいのか?! ちがうだろ、テーマが。
 なので、この映画は小説とは別物と思うことにした。でも、確認のために原作も読むことにした。自分が読んでるのは、ダンナが買っていた30年前のカッパノベルズだが、この映画のおかげで原作本は文庫で再版されて、谷甲州の筆で第2部も出たし、マンガ化もされたし、SF界の活性化にはなったかな。
 キャラクター設定は、だいぶ変えてあるとは思うが、この主人公(草なぎくん)は最初と最後以外フラフラとうろついていて、ほとんど何もしていないぞ。田所博士と大臣の元夫婦のからみのほうがおもしろいけど、もう人間の手を超えた現象をウリに持ってくると、人間ドラマってどうも薄っぺらくなっちゃうね。
 SFの醍醐味は、いかに本当らしく壮大なホラをふくかというところだと思っているのだが、その点では映画の映像はがんばってはいるが、原作の筆力には及ばない。

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