書籍『超展開バレエマンガ 谷ゆき子の世界』とイベント「やっぱりすごいぞ! 谷ゆき子」
『超展開バレエマンガ 谷ゆき子の世界』図書の家編集 倉持佳代子編集協力 (立東舎)
今でこそ家にはマンガだらけだが、私が子どもの頃は、周囲のあまりマンガはなかった。中学校になって別マ(別冊マーガレット)を買いだして、友人とマンガ雑誌の交換を始めるまで、いわゆるマンガ雑誌はなかった。しかし、親にずっと「小学○年生」の学習雑誌を買ってもらっていて、そこに載っているマンガが小学生の私にとって全てだった。それらのマンガは何度も読み返したのでけっこう覚えている。その中でも、鮮明なのは谷ゆき子、北島洋子、佐川節子、もう記憶の中にしかないが絵柄はすぐわかるし、ストーリーも部分的に覚えている。機会があれば読みたい。他にもアニメ化されたすずき真弓の『さすらいの太陽』、川崎のぼるの『いなかっぺ大将』なんかも載っていた。
そんな記憶の中にしかいなかった谷ゆき子さんについての研究書が発行された! おお、懐かしや!! 谷ゆき子さんが学年誌にバレエマンガを描いていたのは1966年から10年間ほどらしい。タイトルが『○○星』というので、星シリーズと言われているが、ひとつの連載は学年が1年ずつ上がって続いていくので、この世代の周辺は何を読んでいたかで当時の学年がわかる。私は『白鳥の星』で、主人公の名前はカンナちゃんだったなあ。でも、2学年下の弟の雑誌も読んでいたようで、少しストーリーが混じる。残念ながら、原稿がほとんど残っていないとのことで、雑誌から『バレエ星』が2話分掲載されている。今思えば、「うっそ〜」というようなぶっとんだ展開だが、小学生の頃はそんなツッコミはしなかった。毎月楽しみに読んでいたのよ。少女マンガの生き字引のような「図書の家」のお姉さまがたが編集されているので、雑誌別の掲載年表や谷ゆき子さんの年譜も詳細でわかりやすくて、さすがである。
この本の出版記念に、京都国際マンガミュージアムで、2016年10月27日(木)〜2017年1月31日(火)まで「ミニ展示「すごいぞ!こわいぞ!谷ゆき子!」が開催された。それに併せた企画で、谷ゆき子さんのご長男の谷垣宏尚(ひろたか)さんをお迎えしてのトークイベントが「やっぱりすごいぞ!谷ゆき子!」が、1月29日(日)14:00〜16:00に開催された。件の書籍には、編集協力として、当ミュージアムの研究員の倉持佳代子さんが参画されている所以だ。ああ、京都に住んでてよかったなあ。運良くオモテ稼業も休日に当たっているし、行ってみよう。しかし、今までのトークイベントは講堂で10時から整理券配布なんだが、今回は2階のギャラリーだし、定員30名申し込み不要と書いている。大丈夫か?と、念のために1時間前にマンガミュージアムに着いたが、それらしい人は2〜3人。大丈夫そうなので、先に展示を観て回る。ミニ展示では奇跡的に残っていたというマンガ原稿があった。線が細くて、とても綺麗な原稿だ。ああ、もったいない。当時の印刷の粗悪さが悔やまれる。
トークイベントは空いていた。関係者らしきギャラリーも含めて二十人弱か。興味のターゲットが絞られるのかなあ。もったいない。登壇者は、ご長男の谷垣宏尚さんと倉持佳代子さんと京都精華大学国際マンガ研究センター研究員の雑賀忠宏さん。谷垣さんは、声も大きいし、いやに喋り慣れているなあと思ったら、劇団の俳優さんだった。なるほど。でも、3歳から関西にいるにしては、あまり関西弁のイントネーションがない。話が途切れず、あっと言う間の2時間で、「ムチャクチャな母親だった」と言いながら、この母にして、この子ありで、この作品あり。親子とも個性的であるけど、なんやかやいいながら仲がよかったんだろうなあ。最後に客席にもマイクが回ってきて、「私の谷ゆき子体験」を3人ほど語った。ちょうど横に座っていた人が同じくカンナちゃん世代、それに「図書の家」の小西さんも来場されていて、同じくカンナちゃん世代だった。う〜ん、トシがバレバレね。同い年なら怖くないけど。
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