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2017年3月 6日 (月)

映画「この世界の片隅に」

「この世界の片隅に」2016年11月12日公開 129分
 この映画は不思議な公開のしかたをした。京都でははじめにイオンシネマ桂川で公開。それとは別に、立誠シネマ→みなみ会館→京都シネマと京都の単館上映館がリレー式で上映している。(現在進行形)その途中で、他のロードショー館が相次いで公開を始めた。現在、単館上映館とロードショー館が並行して上映されているが、この現象は今までみたことがない。私の好みでは、立誠シネマでダラ〜っとくつろいで観たかったけど、予定が合わず、みなみ会館(ここも好きだけど)で観て来た。
 こうの史代さんのマンガは何冊か読んだことがあるが、この作品は未読。でも、この映画は、こうのさんのマンガから抜き出たような雰囲気だった。戦前戦後のどかな人々や暮らしと容赦ない現実、それを画面の絵とセリフの行間でまざまざと見せつけている。説明的なセリフがない。すずの出身は広島のどこかとか、すずの嫁ぎ先の様子とか、日常の暮らしを淡々と追うことで読み取っていく。広島産業奨励館界隈の賑わう情景を描くだけで「ああ、ここに原爆が落ちてしまうのだ」と誰もが切なくなる。すずが道に迷った場所が呉の遊郭街だとはどこにも語りがない。でも、後で空襲があって丸焼けになったところに含まれているとわかる。食糧事情や防空壕へ隠れる様子から、戦争がだんだん身近に深刻になっていくことが読み取れる。空襲の不発弾の爆発で姪と自分の右手を無くしてしまう時、あれほど絵を描くのが好きだったすずが、「絵を描けなくなった」と言って嘆くシーンが一言もない。戦争の終盤にはそう言った楽しみを味わうことも、楽しみを無くして嘆くこともできないほど、人々は切羽詰まっていたのだ。「うちはぼんやりしとるけの〜」と言いながら、現実に押しつぶされそうなすずの心が垣間見える。
 主張がない分、観る側の読み取りによって、感想が十人いれば十人とも違うだろう。年代にも性別にも出身地にもよっても違う。そして、後でパンフレットなど読んでも新しいことに気づき、2回に観たら1回目で気づかなかったことを読み取り、他の人の感想を聞いてなるほどと思い、広がりを見せるいい映画だった。

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