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2013年3月23日 (土)

小説『屍者の帝国』

『屍者の帝国』伊藤計劃×円城塔著 (河出書房新社)
 伊藤計劃は好きだったので、出版された本は全部読んでいる。この本のプロローグ部分になっている伊藤計劃の試作『屍者の帝国』は、SFマガジン誌上でも読んだし、『伊藤計劃記録』でも読んだから3度目になる。
 円城塔は実は読んだことがなかったのだが、3月に大阪で講演会があったので、その前に『Self-Reference ENGINE』(デビュー作)と『道化師の蝶』(芥川賞受賞作)を読んだ。今までよんだことがないような世界だが、う〜ん、よくわからん。その次に本書に取りかかった。伊藤計劃がのりうつったようだった。……もしかして、円城さんってすごい作家かも、と思った。
 円城塔のペンネームの由来は、大学の指導教官だった金子邦彦の小説に登場する物語作成プログラムのひとつの円城塔利久というのに由来する。金子邦彦著の『カオスの紡ぐ夢の中で』も読んだ。この博士もSF者だ。小松左京賞に応募するのを薦めたのもこの先生らしい。いい指導教官をもったなあ。そして、そのペンネームのとおり、『屍者の帝国』では伊藤計劃のように物語を綴る作成プログラムのようだ。さらに、登場人物の主人公に付き従い、ずっと記録を続ける屍者フライデーに重なる。
 そして、伊藤計劃が遺した30ページ足らずのプロローグから、400ページにわたる屍者が共生?するパラレル19世紀が、伊藤計劃然として違和感なく面白く展開される。どこまで構想が遺されていたかわからないが(ホントにプロローグ部分だけだったら、円城さんすごい)、キャラの立ち方なんかもそれらしい。バーナビ−大尉すてき。ザ・ワンなんかはネーミングからしてメタルギア・ソリッドっぽい。
 故人の作品を引き継ぐような形で書き継がれているといえば、小松左京(書かれたときは故人ではなかったが)の『日本沈没』の第2部を谷甲州が書いたり、栗本薫の『グイン・サーガ』の世界を複数の作家で書き継いでいるが、やはり「原作はすごかった」というイメージが否めない。が、この作品は、円城塔がより存在感を放ち、がっぷりタッグを組んで、すごい1冊になっている。

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