2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ

« 小説『三匹のおっさん』 | トップページ | 小松基地航空祭、リベンジならず »

2009年11月22日 (日)

『さよならジュピター』 小説と映画とプチ講演

 11月初めから沈没してしまった。いろいろネタはたまっているのだが、書くヒマがない。「いかんなあ」と思いながら、ボツボツ更新していくことにする。
 まず、10月の残りから……

 『小松左京マガジン』のMLから知ったのだが、「宝塚映画祭」というイベントの中で、なつかしの1984年の映画『さよならジュピター』の上映と、『小松左京マガジン』で旺盛な執筆活動をしているディープな医学博士・下村健寿さんの講演があったので、去る10月31日に行ってきた。
 私は、田舎に映画館がなかったので、映画を見始めたのは大学に入ってからだった。が、急にそんなに目覚めたわけではなかったので、80年代前半以前の映画はほとんど見ていない。それでもいくつか知っているのは、昔、京都の名画座の祇園会館が安価に3本立ての旧作をどんどん流してくれたおかげである。ビデオが普及していなかった頃のなつかしい話である。
 ……という昔話はおいといて、この『さよならジュピター』は、実は映画も小説も手をつけていなかった。『果てしなき流れの果てに』『日本アパッチ族』『復活の日』『エスパイ』といった長編や何冊かの短編集をガンガン読んでた頃よりちょっと後発で、少し熱がさめていた頃だったせいかもしれない。
 てなわけで、やっぱり映画を観るのなら、小説の方も読んでおこうと3日ほど前から読み始めた。
が……、上映までに読み切れなかった。昔は『復活の日』を2日で読んだのに、腕が落ちたなあ。でも、だいたい映画と小説が対比できるくらいは読み進んでいたので、下村さんのお話も納得しながら聞くことができた。『さよならジュピター』の小説の雑誌掲載は1980年〜1982年で、単行本は1982年に出ている。その後2回ほど文庫本化されていて、私の読んだのは1999年にハルキ文庫からでた上下本だった。これには、左京さんのあとがきと巻末特別インタビューが載っていて、小説と映画の関係話が書かれている。『小松左京マガジン』やワールドコンのプログラムと内容は重なるが、この小説は映画の「原作」ではなく、映画の話が先行した後で小説化されたが、小説のほうが先に出版されて、後に映画が公開されたのだ。映画の作成経緯も映画会社主導ではなく、珍しく作家主導で、当時のSF作家が複数よってたかって楽しく?企画したものらしく、脚本も左京さんが書かれている。
 このようなちょっと特殊な経緯のある作品であるが、観た感想・読んだ感想というと、「映画は良くも悪くも小説のダイジェスト版」だった。よく有名な小説が映画化されると「こんなイメージじゃない」と原作とのずれが不評になったり、有名映画のノベライゼーションというと映像の描写を描ききれずあらすじみたいな小説になってしまったりするが、『さよならジュピター』に限りどちらもあてはまらない。まず、小説の方がやたら描写が細かいのだ。もともとSFは「さも本当のようにどれだけ大きなホラをふけるか」がキモだと私は思っているのだが、左京さんの小説はどれもそういったリアリティがある。だから分厚いのだろうが。太陽系開発の前線の汗臭さやほこりっぽさがヒシヒシと伝わってきてステキ。反面、映画の方は、登場人物が整理され、話が端折られているが、小説版のイメージを損なうものではない。が、時間の関係かあまりにも話がすべりすぎ。公開当時、あまり評判がよくなかったのは、まあなんとなく納得した。もう少し役者の演技がうまかったら、もうちょっと救われたかもしれないと思う、ヒロイン役とカルロス役と……主人公。でも、原作にはないちょっといいシーンもあった。太陽系開発機構のウェッブ総裁がふれると光る球を持ちながら、「太陽は地球にくれてやる。(第2の太陽である)木星は私たちのものだ」というような内容をつぶやくシーンなんてビジュアルでいいなあ。それにスタジオぬえのデザインする宇宙船もなかなか重厚でいい。ジュピター・ゴースト(木星の海に沈んで漂流している地球外知的生命体の宇宙船)も好きだ。
 最後になったが、この映画上映に先立ち1時間、下村健寿さんの講演があった。下村さんといっても、あまり一般にメジャーじゃないと思うが、『小松左京マガジン』では有名である。と、思ったらアメリカの日本映画専門誌(そんなのがあったのか!)にも寄稿しているらしい。イギリス在住なのだが、別件で帰国されたついで(というわけではないかもしれないが)の出演らしいが、パソコン持参で資料もバッチリ、ちゃんと参考資料のアメリカの著作者にも了解をとっているという用意周到さ。(英語ができるって、すばらしい) ワールドコンの時とちがって、ネクタイ・背広姿で、学会の講演を聴くようだった。内容は、『さよならジュピター』のウラ話的なことや、オデッセイアやスターウォーズと対比してのお話だったが、1時間じゃ話し足りないようで、けっこうな早口だった。観客が思ったより少なかったのが残念だった。

« 小説『三匹のおっさん』 | トップページ | 小松基地航空祭、リベンジならず »

映画・テレビ」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/125914/46825776

この記事へのトラックバック一覧です: 『さよならジュピター』 小説と映画とプチ講演:

« 小説『三匹のおっさん』 | トップページ | 小松基地航空祭、リベンジならず »